うつは、誰にでも起こりうる症状です。日本人の15人に1人くらい発症すると言われています。うつの症状や対処法について理解し、適宜必要な対策を取り、心を穏やかに保ちましょう。
人の感情や思考はどうやって起こる?
私たちの感情や思考はどのようにして生まれているでしょうか?
例えば、欲しいものを買えたらうれしいし、好きな場所に行けたら楽しいし、怒られたら悲しいなどの感情は、私たちの心から生じているように感じます。
しかし、実際は、目や耳、口、皮膚などで認知した出来事が、情報を伝達する神経伝達物質を介して神経に伝わっていって知覚される物質的なものなのです。
うれしい出来事や悲しい出来事は、神経の興奮を引き起こすトリガーに過ぎず、それによって、体内で電気信号が送られることでうれしい・悲しい気持ちを感じるのです。
何が言いたいかといいますと、私たちの思考や感情は、この神経間で情報を伝達してくれている物質の存在なしには発生しないものなのです。
例えば、大好きな人から告白されたとか、宝くじが当たったとか、通常であればうれしいであろう出来事が起こったとしても、うれしい感情を引き起こす物質がない場合には、うれしいと感じることはできなくなるのです。
なので、感情や思考に問題が生じた時に、自分自身の性格を責めたり、自分自身の精神的な問題なのだとか、自分の弱さの問題だなどと捉える前に、体のシステムの不具合の一つなのだということを客観的に理解して対処する必要があります。
イメージとしては、機械の電池切れや、電気回路の接触不良などが近いかなと思います。
機械の不調であれば、そこを直すか、電池を入れ替えればまた動きますよね。このイメージを持って、読み進めていただければと思います。
物質ごとの働きと症状
うつの症状に関与している主な神経伝達物質はこの3つです。
・ドーパミン
・ノルアドレナリン
・セロトニン
ドーパミンが低下して起こる症状
・意欲がわかない
・頭がぼーっとして思考できない
・物忘れ
・何をしても楽しくない
ノルアドレナリンが低下して起こる症状
・何にも興味や関心がなくなった
・睡眠がとれない
・気力がない
セロトニンが低下して起こる症状
・不安
・緊張
・イライラ
・焦り
全てが低下して起こる症状・身体症状
どれか一つの物質だけが低下して起こるわけでなく、すべての物質が低下したり、バランスが乱れて気力や感情、認知機能や思考力の低下などとともに、身体にも症状が起こってくる場合があります。
・体の痛み
・しびれ
・耳鳴り
・頭痛
・食欲低下
・下痢、便秘
神経伝達物質が少なくなる原因別の対処法
材料不足で神経伝達物質を作れない = 電池が入ってないのと同じ
この原因は、食生活の偏りや食事量の低下などによる必要な栄養素の不足です。
■対処法 神経伝達物質の材料をしっかり摂り、合成を促す
・ドーパミンを増やす ※ノルアドレナリンはドーパミンから作られます
⇒タンパク質、ビタミンB群、チロシン(アミノ酸)、鉄
↓タンパク質・鉄の取り方についてはこちらの記事に詳しくまとめています↓
・セロトニンを増やす
⇒トリプトファン(アミノ酸)、ビタミンC、葉酸、ナイアシン、マグネシウム、鉄
↓マグネシウムについてはこちら↓
↓メンタルを安定させるための栄養アプローチについてはこちらをご覧ください↓
⇒腸内環境を整える
↓腸内環境についてはこちらの記事をご覧ください↓
仕事量や情報量が多すぎて神経伝達物質が足りなくなった = 電池を使い切ったのと同じ
例えば、多忙やストレス過多などで伝達物質を使いすぎている状態が長く続いているような場合です。
■対処法 作業量をやストレス量を調整する
単純にキャパオーバーしています。仕事や家事などの作業量を優先順位の低いものから減らしていきましょう。
完璧主義で頑張り屋さんの場合、これがとても難しいですが、やらなくてもなんとかなるものはとにかく後回し、もしくは誰かに助けてもらうなどしてください。
仕事や諸作業は、自分で思っているより、なんとかなることの方が多いです。自分の体と心を大切に守ることは、あなたが何よりも優先すべき最重要なことです。
他の人に何と思われるか、迷惑をかけるのではないかということ心配して抱え込むことよりも、自分自身と向き合い、自分のできることとできないこと、できる量と無理な量をしっかり判断し、上手に調整できるようになることが生きていくうえでとても大切なスキルです。
考え方や感じ方のクセで余分に使いすぎている = 漏電しているような感じ
うつ症状を発症しやすいタイプとして、真面目、完璧主義、凝り性、気を遣いすぎるなどが挙げられますが、これらは気持ちがピンと張りつめた状態を招きやすいことが原因です。
ゆったりマイペースな人と比べると、あれもこれもしっかりしようとしたり、あれこれ気を回しすぎて、脳が疲労してしまうことが原因です。
■対処法 カウンセリングや認知行動療法などで、自分の考え方や感じ方、対人関係などを改善する
柔軟でゆとりある考え方や思考を身につけることで、省エネで燃費よく脳を使っていくというイメージです。
絶対に知っておいていただきたいのは、決して、性格や考え方が悪いわけではないのです。ただ、すべてに全力で、使わなくてもいいところにまでエネルギーを使いすぎると枯渇して苦しくなってしまうので、そうならないような方法を身につけて、上手に元気に生きていきましょうということです。
■対処法 コミュニケーションスキルを身に付ける
コミュニケーションが苦手な方は、仕事や対人関係でストレスがたまりやすくなります。上手にコミュニケーションができて、自分らしく過ごせるようになるとストレスレベルが下がり、穏やかに過ごすことができるようになります。
人には、自分にも相手にもコミュニケーションのタイプがあります。それを理解することで、自分も相手も心地よいコミュニケーションをとることがでいるヒントになり、円滑な人間関係を築けるようになります。
その他、おすすめの対処法
・十分な睡眠
・休息
・気分転換
・軽い運動
・規則正しい生活
■ 十分な睡眠
まずは何より、睡眠を大切にしましょう。できれば好きなだけゆっくり寝られるようにしましょう。ただ、うつ症状で睡眠障害がある場合は、軽い運動や入浴などで睡眠しやすい体の状態を整えることから始めましょう。
↓眠りやすい環境を整えて、質のよい睡眠をとることが大切です↓
ベストセラースタンフォード式最高の睡眠から生まれたマットレスです。
↓睡眠の質向上のために必要なサプリやグッズはこちら↓
■ 休息
リラックスしてゆっくり過ごす時間を作りましょう。心が苦しくて休まらないときは、まず体を温め、体の力を抜いてゆったり呼吸をしたり、好きな香りをかいだりして、電気を少し暗めにしたりして、身体的に副交感神経(リラックスの神経)を優位にするようにしていきます。
■ 気分転換
つらいことや苦しいことを考えすぎたり、負の感情に支配されないよう、気分転換をしましょう。何もしないと悪いことを考えてしまうと思うので、無理のない範囲で好きなことをしたり、好きな曲を聴いたりしましょう。
それが難しい場合、瞑想がおすすめです。
■ やりやすい簡単な瞑想
① ゆったりした楽な姿勢で横になります。
② 息をゆっくり吸って、吐くことを繰り返します。
③ できるだけ考え事をしないで呼吸にだけ向けるようにします。
例えば、胸が膨らんだな、鼻を空気が通ったな、おなかがへこんだなという感じです。
④ しばらく続けると、瞑想の効果が得られ、頭が少しクリアになります。
■ 軽い運動
リズム運動がセロトニン分泌に効果的です。例えば、ウォーキングやランニングなどです。
この時にも、考え事をしないように、体の感覚に意識を向けて歩くと効果的です。
例えば、いちに・いちにと心の中で数えたり、今右足が地面についた、つま先で地面を蹴った、息が上がってきたな、腕が動いたなどです。
辛いほどの負荷はかけずに、ゆったり取り組める程度で取り組みましょう。
↓ホットヨガ↓
↓24時間ジム↓
↓楽しく体幹を鍛えるサーフエクササイズ↓
■ 規則正しい生活
朝に日光を浴びたり、暴飲暴食をしない、睡眠リズムを整えるなど規則的な生活を送るようにしましょう。
まとめ
最後までお読みくださりありがとうございます。
うつは誰にでも起こりうることです。正しく理解して、必要な時に必要な対処をできるようにして、健やかな心を守り、楽しく生活を送ってください。
↓ポチッと応援していただけるとうれしいです↓
にほんブログ村
健康と医療ランキング